2024年度 春季人権週間プログラム「トランスジェンダーと現代社会、そして大学」
INFORMATION
近年、トランスジェンダーに関する最高裁判所の判断が注目を集めている。一つは経産省勤務のトランスジェンダー職員に対するトイレ使用制限に対する違憲判決。もう一つは性同一性障害特例法における「生殖不能要件」への違憲判決である。トランスジェンダーをはじめ、性のマイノリティを前提としてこなかったこれまでの社会・制度・法の在りかたが問われる状況は加速している。
そうした変革の時代にあってまず必要なのは、トランスジェンダーの人々が置かれている環境を、法や制度の水準のみならず、生活と人生の水準で正しく理解することである。この講演の最初の目標は、そこに定められる。加えて本講演では、大学という場所におけるトランスジェンダー当事者の状況についても考えたい。トランスジェンダーの学生のみならず、トランスの研究者や職員にとっての安全なキャンパスはどのように実現されるだろうか。
今回は、トランスの人々が直面する現実を幅広い調査や分析によって明らかにした『トランスジェンダー問題—議論は正義のために』(ショーン・フェイ著)の翻訳や、『トランスジェンダー入門』の共著で知られる高井ゆと里氏をお招きし、トランスジェンダーと現代社会への理解を深める機会としたい。
講師
倫理学者、群馬大学准教授
高井 ゆと里(たかい ゆとり) 氏
1990年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。東京大学/博士(文学)。国立がん研究センター特任研究員、石川県立看護大学講師などを経て、2022年より現職。訳書にショーン・フェイ『トランスジェンダー問題—議論は正義のために』(明石書店、2022年)、テレサ・ソーン&ノア・グリニ『じぶんであるっていいかんじ』(エトセトラブックス、2024年)、著書に『極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる』(講談社選書メチエ、2022年)、『トランスジェンダー入門』(共著、集英社新書、2023年)、『トランスジェンダーQ&A—素朴な疑問が浮かんだら』(共著、青弓社、2024年)、『トランスジェンダーと性別変更』(編著、岩波書店、2024年)など。