公開研究会「哲学対話と地域交通計画への子どもの参画についての研究会」
INFORMATION
この研究会は立教SFR共同プロジェクト研究「地域創生拠点におけるSDGs・脱炭素実施状況の調査と提言」の一環として開催されるものである。米国ハワイ州より2名の講師(ベンジャミン・ルーキー氏、スコット・アレン氏)を招聘し、事例報告を行なっていただく。彼らのプロジェクトでは、2035年のオアフ島での交通システムの計画を立案するにあたり、ハワイスタイルの哲学対話を通して、若年層の子どもたちを含めた地域コミュニティと政府機関の協働を実現させてきた。政治や社会参加において取り残されがちな子どもたちという存在を取り込み、その社会的、教育的枠組みを開発することは、SDGsの理念“No one will be left behind”を具現化したものであると言える。哲学対話が行われる中では脱炭素についての議論も行われており、ルーキー氏とアレン氏の取り組みは、持続可能な地域コミュニティの形成を文字通り、世代間を超えた層を取り込み、大きな規模で実現された事例である。SFRのプロジェクトで連携している埼玉県小川町のエネルギーファームでも、高校生が関わられており、異なる世代の人々が協働し、政治的、社会的なコミュニティを形成し、重要な事柄について決定するということについて、ハワイでの取り組みが参考事例となる。19日はハワイ大学の講師による講演会の形式を取り、20日はハワイスタイルの哲学対話を受講者の方々に経験していただく形式を取る。
講師
ハワイ大学マノア校上廣哲学倫理教育アカデミー副所長
Benjamin Lukey(ベンジャミン・ルーキー) 氏
ハワイ大学マノア校で比較哲学の博士号を取得。しょうがい哲学、比較哲学、子どものための哲学(philosophy for children)に関心を持ち、哲学的言説により多くの声を包含するという目標を掲げながら活動を行なってきた。2007年より、ハワイ大学マノア校のphilosophy for children Hawaiʻi(p4c Hawaiʻi)の研究と実践を先導し、ハワイの公立高校で駐在哲学者(Philosopher in Residence)プロジェクトを展開。現在もワイマナロ小中学校、カイルア高校、ワイキキ小学校、カエレプル小学校、ハワイ大学マノア校でp4c Hawaiʻiの教員と児童、生徒、学生を支援を行なっている。
ハワイ州政府持続可能な都市計画部門特別計画プロジェクトアナリスト
Scott Allen(スコット・アレン) 氏
通称“CAPT. Cloudwatcher”として知られるスコット・アレンは、ハワイ大学マノア校でラーニング・デザインとテクノロジーの博士課程に在籍している。彼の研究テーマは、コミュニティ計画と開発の理想を対話型教育アプローチp4c Hawaiʻiと組み合わせることで、幼稚園から高校までのカリキュラムを充実させ、健全な都市ガバナンスの基盤である、より意識的で、権限を与えられた、活動的な市民を作るために、若者に意図的な影響を与える方法を探ることである。
通訳
本学ESD研究所リサーチアシスタント
渡邉 文 氏
ハワイ大学マノア校で教育哲学の博士号を取得。比較教育学、子どものための哲学(p4c)、教育制度に関心を持つ。米国で発祥、発展してきた子どものための哲学が文化、教育制度の異なる日本でどのように理解され、実践につながってきたかということについて博士論文を執筆した。2017年〜2021年にハワイ大学マノア校上廣哲学倫理教育アカデミーにてアシスタントを務め、米国と日本の教員交流を支援してきた。