公開講演会「暴力と善悪のゆくえ」
INFORMATION
社会における暴力や国家間の戦争は、個人の自己理解や他者との関係、また共同体形成のあり方に繰り返し問いを投げかける。ユダヤ・キリスト教の伝統において、こうした問いは人間の倫理判断や行動における「悪」の問題として、また信仰共同体のアイデンティティ形成における葛藤という問題として現れ、後世に大きな影響を与えた。そのさい、とりわけ人間論と共同体論のつながりが、学術的に注目されている。本講演会では、旧約聖書学・初期ユダヤ教思想と新約聖書学・初期キリスト教思想の視点から、旧約聖書における人間理解や初期キリスト教史における共同体思想の諸相について論じる機会とする。
講師
北星学園大学経済学部共通部門教授
山吉 智久(やまよし ともひさ) 氏
1978年、静岡県に生まれる。2000年、本学卒業。2012年、ドイツ・テュービンゲン大学修了(Dr.theol.)。現在、北星学園大学教授。
著書:Von der Auslösung zur Erlösung. Studien zur Wurzel PDY im Alten Orient und im Alten Testament(WMANT 134), Neukirchen-Vluyn 2013.
訳書:G.フォン・ラート『古代イスラエルにおける聖戦』(教文館、2006年)、E.ウュルトワイン『ATD旧約聖書註解8-9列王記〈上〉〈下〉』(ATD・NTD聖書註解刊行会,2013-2014年)、A.ベルレユング/C.フレーフェル編『旧約新約聖書神学事典』(教文館、2016年)、D.スチュワート『旧約聖書の釈義——本文の読み方から釈義まで』(同、2017年)、J.C.マッカーン『現代聖書注解士師記』(日本基督教団出版局、2018年)、『死海文書Ⅶ聖書の再話2』(ぷねうま舎、2019年、共訳)、J.J.コリンズ『『死海文書』物語——どのように発見され、読まれてきたか』(教文館、2020年)。
関西学院大学神学部教授、京都大学講師
浅野 淳博(あさの あつひろ) 氏
1960年、山陰松江生まれ。フラー神学校にて神学修士号(1997年)、オックスフォード大学にて哲学博士号(2003年)を取得。現在は関西学院大学教授、京都大学講師。
単著:Community-Identity Construction in Galatians(T&T Clark Continuum, 2005);『ガラテヤ共同体のアイデンティティ形成』(講談社/創文社、2012年);『NTJ新約聖書注解 ガラテヤ書簡』(日本キリスト教団出版局、2017年);『死と命のメタファ』新教出版社、2022年;『新約聖書の時代』教文館、2023年。
共著:The Oxford Handbook of the Reception History of the Bible(Oxford Univ. Press, 2011);The Trinity among the Nations(Eerdmans, 2015);T&T Clark Social Identity Commentary on the New Testament(T&T Clark, 2020)他。
辞典類:The Cambridge Dictionary of Christianity(Cambridge Univ. Press, 2010);The Oxford Dictionary of the Christian Church(Oxford Univ. Press, 2022);『キリスト教文化事典』(丸善出版、2022年)他。
翻訳:R.ボウカム『イエスとその目撃者たち』(新教出版社、2011年);J.D.G.ダン『使徒パウロの神学』(教文館、2019年);ジェレミー・ダフ『エレメンツ新約聖書ギリシャ語教本 改訂第3版』(新教出版社、2020年)他。