公開講演会「古代美術とローマ市民——教皇シクストゥス4世の寄贈(1471年)からローマ首都宣言(1871年)にいたるまでのカピトリーノ美術館——」
INFORMATION
9月16日(土)より東京都美術館にて開催される「永遠の都ローマ」展(主催:毎日新聞社、NHKグループ、東京都美術館、福岡市美術館他)を記念して、本展の日伊共同学術監修者による関連講演会を開催する。本展は日本で初めてカピトリーノ美術館コレクションを網羅的に紹介する機会となるが、この美術館はローマ市庁舎のおかれる都市の中心部カンピドリオ広場にあり、その起源は1471年にローマ教皇シクストゥス4世が《カピトリーノの雌狼》を含む古代ブロンズ彫刻群をローマ市民に寄贈し、公開したことに遡る。1734年に本格的な美術館として開館してから現在にいたるまで、世界で最も古い公共美術館の一つと言われ、今から150年前の1873年5月には、明治政府が欧米に派遣した岩倉使節団もこの美術館を訪れ、その後の日本の博物館政策、美術教育にも影響を与えた。本講演会は、イタリア外務省機関であるイタリア文化会館と共同開催のもと、展覧会の出品作を交えながら、都市ローマと美術政策の歴史を中心に論じ、日本とイタリアの文化交流を目的とする。
講師
ローマ市文化財監督官、前カピトリーノ美術館館長、本展学術監修者
クラウディオ・パリージ・プレシッチェ 氏
ローマ大学サピエンツア校大学院古典考古学研究科にて博士号取得。ローマ市文化財監督局に着任後は、市管轄の重要な遺跡および美術品の管理・保存・科学調査・展覧会企画の責任者として、数々のプロジェクトを手がける。とりわけローマ市庁舎が置かれ、市政の拠点をなすカピトリーノ丘にあるカピトリーノ美術館と所蔵品の修復および2000年のリニューアルオープン、さらに2007年の展示室の改修の手腕を評価され、本美術館の館長に就任。2022年7月よりローマ市文化財監督局の長である監督官に任命され、ローマ市管轄の考古遺跡と美術品に関する総責任者をつとめる。イタリア内外のアカデミーや文化研究機関(フランス国立古代学協会、ドイツ考古学研究所、リビア研究協会、米国バージニア大学美術学部)のメンバーとしても国際的な文化財保存活動に従事する。
東京イタリア文化会館館長、ナポリ東洋大学教授
シルヴァーナ・デマイオ 氏
1988年ナポリ東洋大学卒業、1998年東京工業大学にて博士号取得。日本の近代史および日本とイタリア関係史が専門で、2020年3月よりナポリ東洋大学アジア・アフリア・地中海学部教授。2022年5月より東京イタリア文化会館館長として来日し、両国の文化交流に従事する。Studiare la storia delle relazioni internazionali in giapponese, Giannini Editore, Napoli, 2018 他、著書、論文多数。