公開シンポジウム「ロマン主義と第二帝政期の文学Le romantisme et la littérature du Second Empire」
INFORMATION
フランス第二帝政期(1852~1870)は、権力による強い言論統制下にありながらも、後世にまで残る数多くの文学的傑作がものされた逆説的な時代である。従来の文学史では、「芸術の自律性」を主張するこの時代の文学を「現代性(モデルニテ)」の端緒と位置付け、詩人・文学者を世俗の聖職者とみなす十九世紀前半のロマン主義との断絶を強調する傾向が強かった。しかしながら、ロマン主義による「作家の聖別」はその当初から様々な矛盾を抱えており、フローベールやボードレールといった第二帝政期の作家たちの直面した困難をその延長線上でとらえる新しい見方が、二十一世紀に入ってから徐々に浸透しつつある。本シンポジウムではフローベール・ボードレール生誕二百周年にあわせ、両作家の専門家とロマン主義の専門家が一堂に会して議論することにより、十九世紀フランス文学史の根底的な見直しを行う。さらにフランスおよびアメリカの大学から5名の研究者を招聘し、海外の研究との交流をはかる。またシンポジウムの枠内で、ボードレールの詩に関連する歌曲を対象としたレクチャーコンサートを実施する。開催方式は対面の予定。
登壇者
本学文学部文学科フランス文学専修教授
菅谷 憲興
東京大学名誉教授
蓮實 重彦 氏
東京大学元総長。フランス文学者、文芸評論家、映画評論家。主著に、『「ボヴァリー夫人」論』(筑摩書房)、『凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論』(青土社、芸術選奨文部科学大臣賞)、『監督 小津安二郎』(筑摩書房)、『ジョン・フォード論』(文藝春秋)ほか。
東京大学名誉教授
鈴木 啓二 氏
フランス文学者。主著に、『〈前衛〉とは何か?〈後衛〉とは何か?文学史の虚構と近代性の時間』(共著、平凡社)。主な訳書に、『ドーミエ版画集成3パリ生活』(みすず書房)、ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』(岩波文庫)ほか。
名古屋大学名誉教授
松澤 和宏 氏
フランス文学者。主著に、『生成論の探究』(名古屋大学出版会)ほか。
白百合女子大学教授
辻川 慶子 氏
フランス文学者。主著に、『Nerval et les limbes de l’histoire』(Droz)ほか。
白百合女子大学教授
海老根 龍介 氏
フランス文学者。主著に、『引用の文学史』(共編著、水声社)ほか。
南山大学教授
真野 倫平 氏
フランス文学者。主著に、『死の歴史学 ミシュレ『フランス史』を読む』(藤原書店)ほか。
中京大学教授
山崎 敦 氏
フランス文学者。主著に、『Bouvard et Pécuchet, roman philosophique』(Presses universitaires de Vincennes)ほか。
中京大学准教授
中島 太郎 氏
フランス文学者。主著に、『Entre croyance et savoir. Les Figures religieuses de Flaubert』(Presses Universitaires de Strasbourg)ほか。
愛知県立芸術大学准教授
数森 寛子 氏
フランス文学者。主著に、『Ruines et ruine dans l’œuvre de Victor Hugo』(パリ第七大学博士論文)ほか。
慶応義塾大学非常勤講師
片岡 大右 氏
フランス文学者。主著に、『隠遁者、野生人、蛮人 反文明的形象の系譜と近代』(知泉書館)ほか。
東京大学非常勤講師
坂本 さやか 氏
フランス文学者。主著に、『Les spectacles de l’histoire dans l’œuvre de Jules Michelet』(パリ第七大学博士論文)ほか。
ギュスターヴ・エッフェル大学研究員
平澤 暢之 氏
フランス文学者。主著に、『Flaubert : le libéralisme en littérature』(パリ第八大学博士論文)ほか。
関東学院大学教授
大鐘 敦子 氏
フランス文学者。主著に、『サロメのダンスの起源 フローベール・モロー・マラルメ・ワイルド』(慶應義塾大学出版会)ほか。
名古屋外国語大学准教授
木内 尭 氏
フランス文学者。主著に、『L’Éducation sentimentale et la littérature romantique』(パリ第八大学博士論文)ほか。
西南学院大学教授
和田 光昌 氏
フランス文学者。主著に、『Roman et éducation. Étude génétique de Bouvard et Pécuchet』(パリ第八大学博士論文)ほか。
パリ第八大学、ジョンズ・ホプキンス大学名誉教授
ジャック・ネーフ 氏
フランス文学者。主著に、『Madame Bovary de Flaubert』(Hachette)ほか。
トゥール大学教授
フィリップ・デュフール 氏
フランス文学者。主著に、『Le réalisme pense la démocratie』(La Baconnière、文学批評大賞)ほか。
ギュスターヴ・エッフェル大学教授
ジゼル・セジャンジェール 氏
フランス文学者。主著に、『Flaubert, une poétique de l’histoire』(Presses Universitaires de Strasbourg)ほか。
ギュスターヴ・エッフェル大学准教授
ジュリエット・アズレ 氏
フランス文学者。主著に、『L’Âme et le Corps chez Flaubert. Une ontologie simple』(Classiques Garnier)ほか。
ウィスコンシン大学教授
フロランス・ヴァタン 氏
フランス文学者。主著に、『L’Esprit (dé)réglé: Literature, Science, and the Life of the Mind in France, 1700-1900』(共編著、L’esprit créateur)ほか。
歌手
駒井 ゆり子 氏
東京音楽大学オペラコース卒業、同大学院修了。パリ・エコール・ノルマル音楽院にて最高課程“コンサーティスト”を首席で修了。トゥールーズ国際フランス歌曲コンクール・最優秀ピアノ声楽デュオ賞ほか受賞多数。日本フォーレ協会会員。二期会フランス歌曲研究会運営委員。二期会会員。桐朋学園大学、同大学院、同芸術短期大学非常勤講師。主なCDに『ポエジー フランス近現代歌曲集』、『メロディー ~眠りにつく時~』など。
ピアニスト
岩撫 智子 氏
東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。東京コンセルヴァトアール尚美ディプロマコース卒業。二期会オペラスタジオピアニスト、日本フィルハーモニー協会合唱団ピアニスト。東京国際声楽コンクール公式伴奏者。主にオペラ・声楽・合唱の分野での伴奏活動の他、音楽教材の録音も多数行っている。主なCDに『デュオ・ア・レーズHarmonie』、『メロディー ~眠りにつく時~』など。