公開映画上映会「映画『そのこえ』上映会—場面緘黙(かんもく)症を知り、内なる「こえ」を考える」
INFORMATION
本学修了生が参加した、場面緘黙(かんもく)症をテーマとする映画『そのこえ』の上映会を通じて、場面緘黙症に対する理解を深めるとともに、わかりにくさに対する不寛容やコミュニケーションの希薄化が指摘される現代社会において、「こえ」を聞く大切さを考える。
場面緘黙症とは、家族などを相手には話ができても、学校や会社など特定の状況下では声を出して話をすることができない疾患である。多くは幼少期に発症するが、正しく理解されずに見過ごされたり、大人になっても症状が持続し生きづらさを抱えたりすることもある。
映画『そのこえ』は、場面緘黙症を抱えた主人公の青年が働く就労継続支援事業所でダンサーと出会い、踊りによって自分の「声」を発見していく物語である。本公開講演会では、同作品上映後、声の出にくい状態になった自らの体験をもとに、「こえ」をテーマに本作品を製作した田中大志監督とダンサー役として出演した21世紀社会デザイン研究科修了生の有泉汐織氏を迎え、誰しもが心に抱えているであろう内なる「こえ」に耳と心をすます対話のあり方についても考える。
講師
映画作家、映画『そのこえ』企画・監督・脚本・編集
田中 大志(たなか たいし) 氏
19歳の時にイスラエル留学に出発。現地でヘブライ語や聖書を学びながら、べツァルエル美術デザイン学院映像表現学部に入学。在学中にドキュメンタリーの魅力を知り、カメラを片手にイスラエル中を旅しながら、宗教や性、人種差別など国際的に起きている様々な問題や運動を目の当たりにする。3回生の時に制作した短編ドキュメンタリー映画「ガリラヤの漁師」が2019ハイファ国際映画祭学生部門銀賞受賞。2020年夏に帰国。今回の短編映画「そのこえ」が、帰国後日本での初監督作品。同作は2022年ゴールデン・ハーベスト映画祭2部門受賞。
ダンサー、振付家、映画『そのこえ』栞役
有泉 汐織(ありいずみ しおり) 氏
本学現代心理学部映像身体学科卒業、同大学院21世紀社会デザイン研究科修了。チョン・ヨンドゥ氏に師事、振付理論を学ぶ。日々の生活の中で心に引っかかる事柄や腑に落ちずに浮遊している摂理について、身体を通して思考し、作品制作を通して咀嚼し、観客と共有することで味わう。作品を通して対話する「PoTaPa」公演を企画・実践。修士論文では自己サポート型アーティストの活動の持続性について研究。