公開講演会「北ヨーロッパの企業ガバナンスと、新しい資本主義」
INFORMATION
従来の日本企業は、社員や取引先、地域社会などさまざまなステイクホルダーの複雑な利害のバランスに配慮し、雇用を守り、長期的な観点から経営を行うという「ステイクホルダー型ガバナンス」の経営を行ってきたとされる。しかし21世紀に入り、資本市場のグローバル化が進展するなか、停滞する日本経済の構造改革を進める中で、株主の要求に応えることが、企業の経営の優先的な目的であるという、アングロサクソン型の「株主ガバナンス」の考えが、日本社会の中にも広がり始めた。それは、より短期的な利潤の最大化を求める株主の要求に応えられるスピーディーな経営を行わなければ、競争に負け、生き残っていけないという考えでもある。北ヨーロッパには、そのような経営の考えと一線を画した経営を行い、優れた業績を出している企業が存在する。ドイツのボッシュやカールツァイス、デンマークのノボノルディスク、マースクやカールスバーグ、スェーデンのウォレンバーグ、イケアなどに代表されるそれらの企業は、いずれも非営利財団が株式の過半を所有し、経営権を行使している。そこでは長期的な視野から、多様なステイクホルダーの利害に配慮した経営を行っているのである。アングロサクソン型の株主資本主義にみられる短期的な企業経営と一線を画したそのようなコーポレートガバナンスが、なぜ北ヨーロッパで存在し続けているのか。グローバル競争の激しい今日において、これからも持続可能なのか。日本の企業経営においても、そのような企業のガバナンスは有効か。さらには、2021年に発足した岸田内閣は、英米型の資本主義経済に追随する動きと一線を画す「新しい資本主義」を掲げたが、このような企業ガバナンスの形態は、「新しい資本主義」を模索する日本にどのような示唆を与えてくれるのか。この分野の研究で世界的に知られる2名の研究者を招き、日本でほとんど知られていない、多様なコーポレートガバナンスのあり方について紹介し、北ヨーロッパにおける資本主義と企業経営の意義について理解を深め、議論を行いたい。
講師
コペンハーゲン・ビジネススクール教授、同コーポレートガバナンス研究所創設者
スティーン・トムセン 氏
コペンハーゲン大学経済学修士、コペンハーゲン・ビジネススクール経営学博士。同大学助教、オーフス大学教授を経て現職。「デンマークの産業財団」(2017、邦訳 2023)を始め、関連分野で多数の研究論文および著書。
ビーレフェルト大学法学部教授
アン・サンダース 氏
オクスフォード大学法学修士、ケルン大学博士。ケルン高等地方裁判所、ボン大学法学部准教授を経て、現職。関連分野で多数の研究論文および著書。
詳細情報
名称
対象者
申し込み
- 事前申し込み 必要
- 参加費 無料
※本学学生、教職員は事前申し込み不要
【申込方法】
学外からお越しの方は、11月2日(水)までに以下リンクより申し込みを行ってください。
※定員に達した時点で申込受付を終了いたします。
※本学学生・教職員は申込不要です。当日開始時間までに会場にお越しください。