公開シンポジウム
「劇場法は何をもたらしたのか:施行10年とコロナ禍の3年」
INFORMATION
2012年6月に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(以下、劇場法)が施行されて10年が経つ。2014年には「劇場、音楽堂等連絡協議会(劇音協)」が設立され、各地の劇場および音楽堂の連帯も図られるとともに、各館で種々の取り組みがおこなわれてきた。
施行から10年、劇場法は舞台芸術界に何をもたらしたのか。
とくに、2020年以降のコロナ禍は、公共財としての劇場の社会的役割を再考する機会であった。
世界全体を覆った災禍のなかで、日本の劇場文化は、劇場法をいかす形で、何ができ、何ができなかったのか。また、文化芸術基本法(2017年改正)なども含めた実演芸術をめぐる法制度等の歴史的連続性もふまえ、劇場法が担いうる役割を検証する必要もあるだろう。
各所で劇場法再考の機運が高まっている現在、ポスト・コロナ時代を視野に入れ、さまざまな立場の舞台芸術関係者によって劇場法の10年を総括し、次の時間を考えるための場としたい。
登壇者
世田谷パブリックシアター館長
高萩 宏(たかはぎ ひろし) 氏
1953年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学アーツアドミニストレーション学科中退。1976年、劇団夢の遊眠社創立に参加。退団後、英国での「ジャパン・フェスティバル91」、TOKYO演劇フェアなどに関わる。東京グローブ座支配人、世田谷パブリックシアター制作部長、東京芸術劇場副館長を経て現職。現在、全国公立文化施設協議会常務理事、多摩美術大学客員教授。著書に『僕と演劇と夢の遊眠社』(日本経済新聞出版社)。
演出家、SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督
宮城 聰(みやぎ さとし) 氏
1959年東京生まれ。演出家、SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で演劇論を学び、1990年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演、世界各地からの作品招聘、アウトリーチと人材育成を並行させ、「世界を見る窓」としての劇場運営を行っている。2017年のアヴィニョン演劇祭ではアジアの演出家として初めて同演劇祭のオープニングに選ばれ、法王庁中庭で『アンティゴネ』を上演した。
文化政策・芸術運営アドバイザー
米屋 尚子(よねや なおこ) 氏
1984年早稲田大学卒業。外資系銀行勤務、『新劇』編集部、フリーの演劇ジャーナリストなどを経て、1991~93年、英国シティ大学大学院に留学。1993年慶應義塾大学アートセンターの立ち上げに携わった後、1994~95年、米国コロンビア大学・芸術文化研究所客員研究員として留学。1996年から日本芸能実演家団体協議会に勤務。舞台芸術に関する調査研究、政策提言、研修事業などに携わった。2020年に同協議会退職後、EPAD事務局に参加。演劇教育コーディネーターや調査研究、文化政策アドバイザーを続けている。著書に『改定新版 演劇は仕事になるのか?』(アルファベータブックス 電子書籍版 2018年)など。
学習院女子大学教授
内野 儀(うちの ただし) 氏
1957年京都生まれ。学習院女子大学教授。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(学術)。岡山大学講師、明治大学助教授、東京大学教授を経て、2017年4月より現職。専門は表象文化論(日米現代演劇)。著書に『メロドラマの逆襲』(1996)、『メロドラマからパフォーマンスへ』(2001)、『Crucible Bodies』(2009)。『「J演劇」の場所』(2016)。公益財団法人セゾン文化財団評議員、公益財団法人神奈川芸術文化財団理事、福岡アジア文化賞選考委員(芸術・文化賞)、ZUNI Icosahedron Artistic Advisory Committee委員(香港)。「TDR」誌編集協力委員。
文化ジャーナリスト
内田 洋一(うちだ よういち) 氏
1960年東京生まれ。83年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、日本経済新聞社入社。84年から文化部で舞台芸術を中心に美術、音楽などを幅広く取材。2004年から編集委員。著書に『あの日突然、遺族になった阪神大震災の十年』(白水社)、『風の天主堂』(日本経済新聞社)、『現代演劇の地図』『危機と劇場』(いずれも晩成書房)、『風の演劇 評伝別役実』(白水社、第24回AICT演劇評論賞)。編著書に『日本の演劇人 野田秀樹』(白水社、第15回AICT演劇評論賞)。
本学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター助教
後藤 隆基
詳細情報
名称
「劇場法は何をもたらしたのか:施行10年とコロナ禍の3年」