公開講演会「世界史における『学知』の政治的ダイナミズム」
INFORMATION
古来、様々な文明や国家の政治的な担い手は、文字や文についての知識のみならず、天体の運行に関する知識や測量に関する知識、過去の出来事についてのそれや宗教儀礼・神話についてのそれなどを、学としての体系に組織(するのを促進)し、言語や建造物などに表象す(させ)ることで、みずからの権力の支えとしてきた。あるいは、逆に、そのような学知の担い手が政治的支配者に大きな影響力を行使したり、あるいは、自ら政治的支配者としてふるまう事例も枚挙にいとまない。そのような、政治的支配権力と学知の担い手の関係は、国家・文明圏レベルから、地方レベルにおいてまで観察することができるだろう。その一方で、学知の担い手たち同士の間でも、政治的な力をしばしば働かせることがあったし、学知の持つ力を利用するため学知を装う言説を展開する者たちも少なくない。多様な地域の歴史的過去における学知のさまざまな担い手、またその周辺を取り巻く権力の担い手、さらに権力を行使される側のひとびとの間に見られた政治的な力の発現に注目し、そのダイナミズムが、いかに歴史を動かし、国や社会を形作ってきたのか、比較史的に検討してみたい。これが本シンポジウムの目的である。
講師
本学文学部史学科世界史学専修特任准教授
梅原 秀元(うめはら ひではる)
本学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期課程
王 尊龍(おう そんりゅう) さん
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授
大塚 修(おおつか おさむ) 氏
東京大学大学院で博士号(文学)を取得。
主要業績に『普遍史の変貌:ペルシア語文化圏における形成と展開』(名古屋大学出版会、2017年)。
武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授
小森 真樹(こもり まさき) 氏
東京大学大学院で博士号(学術)を取得。
主要業績に『人文学のレッスン 文学・芸術・歴史』(共著、水声社、2022年)、「遺体が芸術になるとき——医学博物館が拡張する「芸術」と医学教育の倫理」『民族藝術学会誌 arts/』37、126-139頁。
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授
宇山 智彦(うやま ともひこ) 氏
東京大学大学院博士課程単位取得退学、修士(学術)。
主要業績に『ロシア革命とソ連の世紀5 越境する革命と民族』(共編著、岩波書店、2017年)、「学問の自由と有用性・効率性の間で:科学者代表機関の役割の歴史と現在」『歴史学研究』1015、185-195頁。
お茶の水女子大学名誉教授
岸本 美緒(きしもと みお) 氏
東京大学大学院博士課程単位取得退学、修士(文学)。
主要業績に『明末清初中国と東アジア近世』(岩波書店、2021年)。