公開講演会 第53回社会福祉のフロンティア「女性の身体をめぐる健康と権利-日本のリプロダクションの何が問題か-」
INFORMATION
緊急避妊薬のオンライン処方が始まり、OTC化(市販薬化)に向けて女性団体の動きが活発化している。産婦人科医の中でも賛否両論があるなかで日本産婦人科医会が会員のアンケート調査の結果を歪曲して報じるなど、現場レベルでの混乱が続いている。
避妊と同様に中絶の配偶者同意の問題や中絶薬の承認に関しても、女性運動が起こり、海外メディアが関心を持って報じるものの、中絶薬の承認予定をめぐっては運用の仕方や価格などについて論争が続いている。そこには当事者不在の産婦人科医療という大きな問題があり、我が国におけるリプロダクティブ・ヘルス&ライツの認識が未成熟であることが関連しているのではないだろうか。
本シンポジウムでは、長年中絶問題を国際的視野で研究し、著書も多数出されている中絶研究者の塚原久美氏、産婦人科医として女性たちの健康を支え、学際的な活動をしてきた「性と健康を考える専門家の会」の代表理事を務める早乙女智子氏、海外の多様な避妊法を紹介し若者の避妊について発信を続ける大学院生、福田和子氏を招き、現在の日本の状況と問題点について考えたい。
講師
RHRリテラシー研究所、金沢大学非常勤講師
塚原 久美(つかはら くみ) 氏
2009年、金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程修了。放送大学非常勤講師、佛教大学非常勤講師などを経て、2019年より現職。訳書に『中絶と避妊の政治学—戦後日本のリプロダクション』(共訳、青木書店、2008年)、『水子供養商品としての儀式:近代日本のジェンダー/セクシュアリティと宗教』(監訳、明石書店、2017年)などがあるほか、単著に『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ:フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房、2014年)がある。
産婦人科医、政治家
早乙女 智子(さおとめ ともこ) 氏
公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター研究員。一般社団法人性と健康を考える女性専門家の会代表理事。筑波大学医学専門学群卒業。京都大学大学院博士(人間健康科学)。日本性科学会認定セックスセラピスト・副理事長、性の健康世界学会(WAS)理事、日本産科婦人科学会専門医、日本生命倫理学会評議員。35年間、常勤産婦人科医として勤務後、2021年東京都議会議員選挙に新宿区から無所属で立候補。「妊娠出産関連費用の無償化」を訴えている。著書『避妊』(主婦の友社、1999年)、『保健体育のおさらい—性教育』(自由国民社、2016年)などがある。
なんでないのプロジェクト代表
福田 和子(ふくだ かずこ) 氏
国際基督教大学卒業。スウェーデンヨーテボリ大学大学院公衆衛生修士。大学入学後、日本の性産業の歴史を学ぶ中で女性の健康と政策の関係性に関心を持ち、福祉やジェンダー平等で先進的なことで知られるスウェーデンに1年間留学。そこでの日々から、日本の避妊法の選択肢や性教育の不足、性と生殖に関する健康と権利を守りにくい環境を痛感し、帰国後、特に若者も当たり前にSRHRを守れる社会の実現を目指し2018年5月『#なんでないのプロジェクト』をスタート。その後再びスウェーデンに戻り公衆衛生修士号を取得、現在はルワンダにある国際機関でSRHRやジェンダーに基づく暴力に関するプログラム・アナリストとして勤務。共訳に『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】』(明石書店、2020年)。
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