【中止】公開講演会「音楽は過去をどう想起したか—東欧ユダヤの音楽「クレズマー」を中心に—」
INFORMATION
3/13追記
【中止】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での感染拡大を受け、本イベントは皆様の健康と安全のため開催を中止します。
ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
東欧ユダヤ人の音楽「クレズマー」(Klezmer)は、東欧からの人の移動に伴ってとくにアメリカで、異種間のジャンルとの数々の接触を通じて、20世紀前半に独自の発展を遂げた。本講演会では、黒田晴之氏が導入としてまず、過去10年の知見に基づいて、戦後から現代にいたるクレズマー受容が、過去の想起とどう結び付いてきたか報告する。
次に大熊ワタル氏は、北米(アメリカ合衆国、カナダ)・欧州(ドイツ、ポーランド)・南米(ブラジル)のクレズマー関連の企画に招聘された経験を、画像・動画なども交えて振り返り、日本のクレズマー・バンドの現地での受け止められ方についても考察する。柿木伸之氏の講演では、クレズマーとクラシックとを問わず、音楽が過去の想起とどう関係しているかを、哲学・思想研究の立場から、日本の状況も視野に入れつつ検討する。
ホロコーストをめぐる研究では、これを直接体験した当事者が亡くなっていくなかで、「ポストメモリー」の時代に突入したことが、重要なテーマとなってきた。これは広島・長崎の被爆者、韓国のいわゆる「従軍慰安婦」についても当てはまり、ポストメモリーの時代はまた歴史修正主義の時代でもある。こうした状況のなかで、音楽は過去をどう想起してきたか、あるいはそれをどう想起できるかという問いが、現代に生きるわたしたちにとって、大切な問いになることは間違いない。
講師
松山大学教授
黒田 晴之 氏
ドイツ文学研究と平行してクレズマーの研究にも取り組み、この分野に特化した単著としては初めての『クレズマーの文化史』を、2011年に人文書院から刊行した。この研究書に前後して主としてアメリカ合衆国から、Yale Strom氏(サンディエゴ大学)、Zalmen Mlotek氏(ニューヨークにあるイディッシュ劇場Folksbiene総監督)を招聘し、2017年には本学部と共同して、クレズマー・リヴァイヴァルの先駆けとなったバンド、The Klezmaticsの設立メンバーのFrank London氏、およびジンタらムータによる、講演とコンサートの会『東欧ユダヤの音楽「クレズマー」-リヴァイヴァルと異文化接触を聴く』を実施した。
ミュージシャン
大熊 ワタル 氏
「シカラムータ」「ジンタらムータ」という音楽ユニットを母胎にして、ちんどん音楽をさまざまな「民衆音楽」に融合させる活動を行なう。クレズマーとの出会いは1980年代終わりに遡り、2015年にはニューヨークのイディッシュ劇場Folksbiene100周年事業Kulturfest nycに、非ユダヤ系・東アジアのバンドとして唯一参加し、カナダのKlezKanada(ユダヤ文化の体験型サマースクール・フェスティバル)、ドイツのユダヤ映画祭オープニング、フランスのプログレッシヴ・ロック・フェスティバルに招聘され、昨年開催されたクレズマー・フェスティヴァルでブラジルでもデビューを果たした。
広島市立大学教授
柿木 伸之 氏
ベンヤミンやアドルノなど、20世紀のドイツ哲学・思想が専門だが、広島を拠点に幅広い執筆・批評活動を行なっている。東北震災を題材とした作品のある細川俊夫氏との共同作業もある。主な著書・翻訳に、細川俊夫『細川俊夫 音楽を語る──静寂と音響、影と光』(アルテスパブリッシング、2016年)、『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ──ヒロシマを想起する思考』(インパクト出版会、2015年)、『ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史』(平凡社、2014年)があり、昨年は『ヴァルター・ベンヤミン──闇を歩く批評』(岩波新書、2019年)を刊行。
詳細情報
名称
内容
黒田 晴之 氏および大熊 ワタル 氏による講演(各45分)
【休憩】(15:30~15:45)
【第二部】(15:45~17:00)
柿木 伸之 氏による講演(45分)と参加者全員による討議(30分)
司会:浜崎 桂子(本学異文化コミュニケーション学部教授)
対象者
申し込み
- 事前申し込み 不要
- 参加費 無料