【中止】公開講演会「現代ゴシックのスレイヴ・ナラティブ—『ゲット・アウト』における青白さと占拠—」
INFORMATION
【10/18追記】
本講演会は、講師の都合により中止させていただくこととなりました。
本講演では、現代アメリカのポピュラー・カルチャーにおける可視の「黒い」肉体とそれを所有する「白い」魂との関係性、及びそれが持つ今も昔も変らぬ問題性に着目し、チャールズ・チェスナットやジョージ・ワシントン・ケーブルらの作家による19世紀のテクストに遡って考察する。特に、近年放送されたテレビドラマ『ヴァンパイア・ダイアリーズ』(2009-17)とそのスピンオフ作品である『オリジナルズ』(2013-18)、及び、ジョーダン・ピール監督の映画『ゲット・アウト』(2017)におけるこの関係性の描写は、エドガー・アラン・ポーの詩「大鴉」(1845)に共通している。「大鴉」において、漆黒の鳥の発話は語り手によって漸進的に(白人と思しき)死んだ女性の魂の状態についての宣言へと変貌させられる。「パラスの青白い胸」に止まるポーの鴉は、近年の超自然的な搾取描写の円環のまさに中心点に存在すると議論したい。
講師
トリニティ・カレッジ・ダブリン(アイルランド)准教授
ダラ・ダウニー(Dara Downey) 氏
2009年にユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで博士学位を取得し、トリニティ・カレッジ・ダブリン及びユニバーシティ・カレッジ・ダブリンにてアメリカ文学を講じる新進気鋭の研究者である。
著書に American Women’s Ghost Stories in the Gilded Age[『金ぴか時代のアメリカ女性作家の幽霊物語』](Palgrave, 2014)、共著に Antiquities of Rural Ireland (Wordwell, 2017)、共編著に Landscapes of Liminality: Between Space and Place (Rowman & Littlefield, 2016) などがあるほか、The Irish Journal of Gothic and Horror Studies (https://irishgothicjournal.net/)の編集者でもある。主たる研究対象は、アメリカ・ゴシック文学とポピュラー・カルチャーにおける家庭生活の表象であり、現在、アメリカ・ゴシック文学における使用人と奴隷についての研究論文を執筆中である。