公開講演会「ローマ法,ゲルマン法,ドイツ法,ザクセン法,リューベック法(Römisches, germanisches, deutsches, sächsisches und lübisches Recht)」
INFORMATION
1516年のビール純粋法はドイツ法,それともバイエルン法だろうか。伝統的に法律史は中世ヨーロッパの法律をローマ法(Ius commune)とゲルマン・ドイツ法に区分する。前者は大学で教授され資格を有する法律家により運用され,後者は法律専門家ではない裁判官,マックス・ヴェーバーの言うところの「法律名誉職」(Rechtshonoratioren)の手中にあった。前者は外来の,後者は土着の法律とされる。しかしこの区別に関して多くのことが疑問視されるようになってきている。例えば,いわゆる「神聖ローマ帝国」の帝国都市にとってローマ法は「外来」ではありえない。教会法は「ローマから世界へ」(Urbi et orbi)をモットーに地球全土での効力を求める。一方,西暦800年以前のゲルマン諸民族の法律は明確ではなく,また多様であり,中世ドイツ法の基礎とすることは不可能である。中世ドイツ法はむしろすでに中世において複雑な融合体であり,この融合体の中には様々な影響が複雑に重なり合っている。この重層的な影響は近世への転換期に数多くの改革都市法(Stadtrechtsreformation)と改革国法(Landrechtsreformation)における多様性において確認することができる。
講師
ゲーテ大学フランクフルト法学部教授
アルブレヒト・コルデス(Albrecht Cordes) 氏
1958年生まれ。
1992 年アルバート・ルードヴィヒ・フライブルク大学にて博士号取得。
1997年『ハンザ同盟地域における中世後期会社商取引』(1998 年出版)で教授資格取得。
1997年から1999年、ヴュルツブルク大学、ケルン大学、フライブルク大学などで教授代理を務め1999年から現職。
2002年および2014年フロリダ大学レーヴィン・カレッジ・オブ・ロー客員教授、2002 年帝国裁判所(Reichskammergericht)研究協会理事。
2002 年ハンザ歴史協会理事。
2002年から 2007 年比較法政史マックス・プランク国際研究所(International Max Planck Research School for Komparative Legal History)スポークスマン。
2007/08 年歴史コレーク(ミュンヘン)。
奨学研究員、2009年東京大学客員教授、2015年テル・アヴィヴ大学客員教授などを歴任。『ドイツ法律史ハンドブック』(Handwörterbuch des deutschen Rechtsgeschichte)編集委員として「リューベック法(Lübisches Recht)」、「ドイツ法(Deutsches Recht)」、「見本市(Messe)」をはじめ数多くの項目執筆。「海洋法? 中世における土着、地域および普遍海洋法」(2017)、「商品購入法。比較法律的描写」(2016)、「ヴェッキンフーゼン原典とその研究。商法史における魅力的かつ難解課題」(2016)、「バーゼル商人ルードゥヴィヒ・キルヒマン(1518 年没)の負債帳簿」(2016)、「The Futere of the History of Medieval Trade(2016)、『Dealing with Economic Failure. Between Norm and Practice (15th to 21st Century)』(共著論集、2016)、「リューベックにおける帝国法」(2014)、「自己、他人、および共同精算での商取引」(2013)、「中世商人の裁判に対する期待。ハンザ特権を指標として」(2012)、『中世および近世初期における法律規範と法律実践』(共著論集、2012)など講演・著書・論文多数。
通訳
本学文学部文学科ドイツ文学専修教授
井出 万秀
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