第49回 社会福祉のフロンティア「物流クライシスを読み解く」
INFORMATION
2017年の始め頃から宅配業者最大手のヤマト運輸による荷物の総量抑制の意向、全社的な未払い残業の露見、宅急便値上げ方針表明と続いたことをきっかけに、「宅配危機」「物流クライシス」等と表現される一連の問題に大きな社会的関心が寄せられている。ここで注目すべきは、ふだん私達がその利便を享受してきた宅配業界の危機のみにとどまらず、物流の大半を担うトラック業界が長年かかえてきた構造的な困難である。
この公開講演会では物流に関わる3人の研究者、専門家を招聘して、私たちの日々の消費生活や生産活動を影で支える物流の概況と諸課題、トラック業界の現状と諸問題、そして関連する政策の動向などを論じ、宅配の危機を招いたトラック運転手の不足・低所得等の労働問題の背後に存在する大きな問題に目を向ける。そして、構造的な問題の改善に向けて必要なことは何であるかを考えていく。
講師
神奈川大学経済学部教授
齊藤 実(さいとう みのる) 氏
法政大学社会科学研究科博士後期課程単位取得。博士(経済学)。日通総合研究所で物流、交通に関する国内・国外の調査プロジェクトに従事し、神奈川大学経済学部助教授を経て現職。専門は物流、交通論。著書に『これからの物流』(東洋経済新報社)、『アメリカ物流改革の構造』(白桃書房、第1回日本物流学会学会賞などを受賞)、『よくわかる物流業界』(日本実業出版社)など。
国土交通省 自動車局総務課企画室長
谷口 礼(たにぐち れいし) 氏
東京大学法学部卒業。1996年旧運輸省入省。同省及び国土交通省の本省の他、国の出先機関(内閣府沖縄総合事務局)、自治体(大分県庁)、民間企業(官民交流:東京海上日動火災保険(株)及び東京海上日動リスクコンサルティング(株))で勤務。2016年から国土交通省自動車局総務課企画室長を務める。
公益財団法人 全日本トラック協会理事長
桝野 龍二(ますの りゅうじ) 氏
東京大学法学部卒業。1977年旧運輸省入省。運輸大臣秘書官、自動車交通局貨物課長、大臣官房総括審議官、海上保安庁次長、国土交通審議官などを経て、2017年から公益財団法人全日本トラック協会理事長を務める。