公開セミナー『障害女性の子宮摘出手術はどう語られてきたのか—1960年代と1980年代を中心に—』
INFORMATION
昨年1月、旧優生保護法による強制不妊手術を受けた宮城県の女性が、国家賠償を求める訴訟を仙台地裁に提訴し、これを皮切りに各地で同様の訴訟が起こされている。こうして、障害者に対する強制不妊手術の歴史が大きな社会問題として一般社会で認識され始めているが、問題は旧優生保護法による手術にとどまらない。日本では長期にわたり多数の障害女性に「生理時の介助軽減」などを目的とした子宮摘出手術が行われてきた事実がある。この手術は旧優生保護法の規定にない手術であり統計にも現れることがないため、実態の解明は容易ではないが、究明が急がれている。
そこで、この公開セミナーでは、障害者運動の歴史的研究に携わってこられた、鈴木雅子氏(歴史学研究会会員)、瀬山紀子氏(淑徳大学非常勤講師)のお二人をお招きして、障害女性に対する子宮摘出手術に関する様々な「語り」に注目して、この困難な課題に関するご報告をいただく。そのことを通して見えてくる戦後日本社会の問題点とそこから立ち上がろうとする障害女性の歴史について参加者とともに議論し、歴史的な認識を深めると同時に、現状の問題点、そして未来への展望を考えることを目的とする。
講師
歴史学研究会会員
鈴木 雅子 氏
戦後障害者運動史を研究テーマとし、これまで重度身体障害者運動(主として脳性マヒ者運動)や障害児の親たちの運動を研究してきた。静岡県近代史研究会、歴史学研究会会員。論文に、「高度経済成長期における脳性マヒ者運動の展開—日本脳性マヒ者協会『青い芝の会』をめぐって—」(『歴史学研究』№778、2003年8月)、「1960年代の重度身体障害者運動—国立身体障害センター・医療問題闘争を事例に—」(『歴史学研究』№889、2012年2月)、「障害者と優生思想—相模原障害者殺傷事件から考える—」(『歴史評論』810号、2017年10月)などがある。
淑徳大学非常勤講師
瀬山 紀子 氏
大学や行政機関でジェンダー平等をテーマにした講義や研修等を行う他、障害女性の運動や女性運動に関わり、障害者問題とジェンダー、セクシュアリティの課題について探求を続けている。編著書に『障害者介助の現場から考える生活と労働』杉田俊介、渡邊琢、瀬山紀子編、明石書店、2013。論文に「優生保護法が問いかける現在進行形の課題」(『女性展望』692, 9-11, 2018-05)、「障害のある女性たちとの関わりから(特集障害者:思想と実践)」(『現代思想』45(8),166-170, 2017-05)他がある。
詳細情報
名称
対象者
申し込み
- 事前申し込み 不要
- 参加費 無料
情報保障:パソコン文字通訳あり