公開講演会 キリスト教の「家族主義」を考える ——クィア神学の視点から
INFORMATION
昨今、同性間パートナーシップをめぐる議論が広がり始めている。日本では1990年代に性的マイノリティのコミュニティにおける議論が深まり始めたが、2015年、東京都渋谷区をはじめとする行政による「同性パートナーシップ証明」の発行により、マスメディアなどでも取り上げられ、より広く知られることとなった。このような可視化が進む中、他方では、異性間の結合のみを「正しい家族」として強調し、同性愛嫌悪や異性愛主義の言説も可視化している。その場合、宗教的な言説が援用されることが少なくはない。
本講演では、キリスト教における言説を捉え、このような「正しい家族」──規範的家族──の在り方を強調する動きへの批判的な考察を行う。社会や教会における規範を問い直してきた「解放の神学」や「クィア神学」の知見をツールとして用いることによって、同性愛嫌悪や異性愛主義を強化する宗教的言説が、ただ、「特殊な」人々の「特殊な」営為ではないことを明らかにしたい。
講師
公益財団法人世界人権問題研究センター第4部(「女性の人権」部門)専任研究員
堀江 有里 氏
立命館大学ほか非常勤講師。専門領域は社会学、レズビアン・スタディーズ、クィア神学。主な著書として『レズビアン・アイデンティティーズ』(洛北出版、2015年)、『「レズビアン」という生き方──キリスト教の異性愛主義を問う』(新教出版社、2006年)。主な論文として「〈弔い〉をめぐる覚書──クィア神学からの一考察」(『女性・戦争・人権』第13号)、「〈反婚〉試論 ──家族規範解体をめぐる覚書」(『現代思想』第43巻・第16号)など。
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対象者
※申込不要、入場無料