公開講演会「いまあらためて社会デザインを考える:共同体を支える理念とは何か~倫理、制度、現実の交錯する中で」
INFORMATION
近年、ともに生きることの困難を思い知らされる出来事が地球的な規模で頻発している。中東やアフリカでの戦闘、拉致、居住地や共同体の破壊、住処を追われて海を渡ろうとする難民の遭難、欧州でのテロ事件と排外主義…そして頻発する巨大災害。これらの出来事を私たちは他人事のように眺めてきたが、まさしく他人事のように眺めてきたことによって21世紀の文明社会は危機的な事態に直面してしまった。このような問題関心のもとに、21世紀社会デザイン研究科では、昨年来、目的を共有する社会デザイン学会との共催でシリーズ「いまあらためで社会デザインを考える」を企画してきた。
シリーズの第3回にあたる今回は、私たちがともに生きる場としての「共同体」について3つの視点から議論を深めたい。まず、西谷修氏には共同体を共同体として成立させしめる理念とりわけその倫理的基盤とは何かについて、また宮島喬氏には、氏が長年追究してきたフランスをはじめとする欧州諸国がそれぞれに異なる国家理念と歴史のしがらみを超えていかなる共同体を目指してきたのか、そしてそうして目指されてきた欧州諸国内での制度的合意がいま世界を席巻する人口移動の圧力の中でいかなる困難に直面しているかについて語ってもらう。ついで佐野敦子氏には、国民国家への執着がとりわけ強かったドイツがいまどのような共同体をめざしどのような努力を傾けているか、その現状について報告してもらう。最後に講師3名とディスカッサントおよびモデレーターを加えたパネル討論、フロアとの質疑等を通して、では日本の場合も含めさまざまに異なる個人やグループがともに生きることを可能にする共同体の形とはなにか、ついて議論を展開したい。
講師
《講演・パネル討論》お茶の水女子大学名誉教授、元本学社会学部教授
宮島 喬 氏
お茶の水女子大学名誉教授。お茶の水女子大学、立教大学、法政大学の各教授を経て現職。専門は社会学。主な著書に、『現代ヨーロッパと移民問題の原点—1970、80年代、開かれたシティズンシップの生成と試練』(明石書店、2016 年)、『外国人の子どもの教育: 就学の現状と教育を受ける権利』(東京大学出版会、2014 年)、『一にして多のヨーロッパ—統合のゆくえを問う』(勁草書房、2010 年)、『ヨーロッパ市民の誕生—開かれたシティズンシップへ 』(岩波新書、2004 年)、他多数。
《講演・パネル討論》本学院文学研究科特任教授
西谷 修
《報告・パネル討論》社会デザイン学会理事
佐野 敦子
《ディスカッサント》本学名誉教授
北山 晴一
《モデレーター》本学21世紀社会デザイン研究科・法学部教授
中村 陽一
詳細情報
名称
対象者
※申込不要、入場無料
主催
お問い合わせ
TEL 03-3985-2181 (月~木)11:00~18:00