立教サービスラーニング(RSL)の新展開——SDGs、カーボンニュートラルの実現に向けて
立教大学
2023/04/24
トピックス
OVERVIEW
共生社会の担い手としてのシティズンシップを涵養(かんよう)する正課「立教サービスラーニング(RSL)」。2016年度に全ての学部生を対象に本格開始して以来、社会の現場での活動と学問的な学びの統合を目指す実践型プログラムとして、多様な学びの機会を提供してきました。そして22年度には、社会の動向や本学における研究・教育の深化を踏まえて開講科目を拡充。今回は、新たなステージに入ったRSLについてご紹介します。
立教大学の理念を具現化し、SDGsとも親和性の高い重要な学びを展開
立教サービスラーニングセンター長
理学部化学科 教授
箕浦 真生 MINOURA Mao
立教大学の建学の精神を表している「Pro Deo et Patria」というラテン語は直訳すると「神と国のために」となりますが、本学では「普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために」と捉えています。
これはまさに、社会や人に貢献する中で他者を理解する能力を培う「立教サービスラーニング(RSL)」に直結するものです。RSLは立教大学の理念を具現化した重要な学びと位置付けることができ、2014年度からパイロットプログラムを展開し、16年度から本格的にスタートしました。
22年4月にはSDGsやカーボンニュートラルに関連する5科目※1を新設しました。その背景には「持続可能な社会に貢献できる人材を育成することは大学の使命である」という思いがあります。
※1 新設5科目を含めたRSL全科目を下に掲載。うち2科目の授業内容を「科目紹介(講義系、実践系)」で紹介しています。
「RSL-ローカル(南魚沼)」では豪雪地帯で「雪ほり」と呼ばれる除雪作業を行う
「RSL-ローカル(地域共生)」では農作業を体験
大学全体で取り組むカーボンニュートラルへの挑戦
キャンパス内に設置されたウォーターサーバー
「キャンパスのカーボンニュートラル」でも多様な施策に取り組んでおり、その一つとして再生可能エネルギーを利用した電力へのシフトが挙げられます。その第一歩として22年4月から立教学院・大学が有する32施設で「ちちぶRE100電力」を導入。これは埼玉県秩父地域の自然を利用した実質再生可能エネルギー100%の電力であり、対象施設のCO2排出量はゼロとなる見込みです。他にも学内で排出されるプラスチックボトル削減を目的として、22年11月には池袋・新座両キャンパスにウォーターサーバーを設置。マイボトル使用を普及させるとともに、環境への問題意識を喚起することが狙いです。
「カーボンニュートラル最先端研究」では、分野横断的な共創を進め、研究成果を広く社会に還元していく予定です。その一例として、水素を貯蔵できる「分子ボンベ」技術の研究・開発があります。水素はCO2を排出しないクリーンなエネルギーですが、貯蔵が難しいというデメリットを抱えています。日本曹達社との産学連携プロジェクトでは、水素の貯蔵に適した機能性材料を開発し、社会実装に向けた研究を進めています。
大学の大きな使命は研究、教育、社会貢献の3つです。いずれも長期的な視点が必要ですが、着実にステップを踏みながら、社会や地球環境に貢献できるよう
RSL科目
卒業生の声
自然や人とのつながりが生み出す豊かさを子どもたちに伝えたい
寺井 朱里 TERAI Akari
2021年 観光学部交流文化学科卒業
1年次にボランティアセンター主催の「農業体験 in 山形県高畠町」に参加。中高6年間を東京の都心部にある女子校で過ごした私にとって、全てが新鮮な体験でした。これがきっかけで地域の暮らしに興味がわき、「RSL‒ローカル(南魚沼)」を履修。豪雪地帯での「雪ほり」の苦労を実感する一方で、伝統文化や自然の恵みなどを存分に感じることができました。そうした経験から、自然や人とのつながりが生み出す豊かさを、自分の経験を通して伝えられる人になりたいと考え、自然体験教育に取り組むNPOに就職しました。
ターニングポイントとなった「RSL‒ローカル(南魚沼)」
この村についてまだ知らないことばかりですが、大学時代にRSLで培った、敬意を持って「知ろう」とする姿勢を大切に地域と関わりたいと思います。そして、泰阜村で生きてきた人の手にある技や知恵、自然の豊かさなどを子どもたちにつないでいきたいです。
SDGsや社会貢献に関わる科目は、RSL以外にも多数開講。その一部をご紹介します。
「SDGsとグローカルの可能性」
1.SDGsの概要
SDGsの概論と授業で主として取り上げるGoalの概説
<2022年度のゲスト・スピーカー>
・刀祢館 久雄氏(日本経済研究センター)
・大林 広樹氏(日本経済新聞社)
2.ローカルの発掘とグローカルの視点
身近な「あたりまえ」を掘り下げ、グローバルにも通じるグローカルな視点を検討する
<2022年度のゲスト・スピーカー>
・鶴田 東洋彦氏(産業経済新聞社)
・熊谷 周三氏(角川武蔵野ミュージアム)
3.グローカルなSDGsの実践事例
<2022年度のゲスト・スピーカー>
・池本 洋一氏(リクルートSUUMO編集長)
・新井 利昌氏(埼玉福興社)
「比較公共政策論」
「SDGsフィールドワーク<グローバル>」
「コミュニティ・ビジネス」
※本記事は季刊「立教」263号(2023年2月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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