大学図書館の現在形

学修を多面的に支援する

2020/07/27

トピックス

OVERVIEW

2012年、池袋キャンパスに点在していた図書館を移転・統合する形でオープンした池袋図書館、同年ラーニング・コモンズを新設する形でリニューアルした新座図書館。立教大学の知の根幹を支え、学生の主体的な学びをサポートする両図書館の現在の姿をご紹介します。

主体的な学びを通した「真理の探究」を支える使命

立教大学図書館長
学校・社会教育講座 司書課程 教授
中村 百合子
NAKAMURA Yuriko

メディア環境の急激な変化が大学図書館の革新を求めています。しかし、「学生の主体的な学修や教育活動を支え、学術研究の発展に寄与する」という根本的な役割は、昔もいまも変わることはありません。立教大学では、「普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために」という教育理念を掲げています。学生の皆さんが、知的好奇心の赴くままに探究を深め、物事の本質にたどり着くために、教室での学びに加え、図書館という場を存分に活用してもらいたいと考えています。

一方では、学びのスタイルの多様性が認められるようになってきて、図書館は静態的な場と動態的な場を併せ持つ空間であることが求められています。本学図書館においても、勉強に長時間集中できる静かなゾーン、パソコンを設置した机、学生同士が自由にディスカッションできるエリアなど、多彩なスペースを用意し、さまざまな目的に応じて個人・グループで活用できる、そして学生同士が学び合える場や機会を提供しています。

近年、特に力を入れているのが多面的な学修支援です。日々の授業や海外留学、就職活動など、学生の「いまと将来」につながる学びを図書館ならではのアプローチでサポートする、各種講座・講習会の開催をはじめ多彩な取り組みを実施しています。最近では、学部生が講師のプログラミングワークショップも大好評でした。今後も自由な発想で企画を立案・推進するとともに、こうした活動を認知してもらうための情報発信も強化していきます。

立教大学での4年間は人生の土台をつくる時期であり、この間にどういう書物を読み、どんな人に出会うかはとても重要です。創立以来の膨大な知の蓄積を有する図書館で、新たな知と、人と出会えるよう、そして「立教大学に来た価値がある」と思ってもらえるような図書館づくりを、今後も進めていきたいと思います。

図書館の”いま”

進化する立教大学図書館のキーワードやトピックスをご紹介します。

長時間快適に利用できる滞在型図書館

左から:学びに集中できるキャレル席(池袋)、PC席(池袋)、カウンタータイプの席(新座)

池袋・新座図書館ともに、目的に合わせて利用できる多彩な閲覧席や学修環境を用意。館内には飲食可能なスペースもあり、利用者が長時間滞在できる環境を整えています。また、年間開館日数が両館ともに320日超えと多く、1日あたりの開館時間が長いことも特徴です。

左から:グループ利用が可能なAVルーム(新座)、飲食可能なテラス席(池袋/左)、リラックスルーム(新座/右)

2018年度年間開館日数
池袋図書館:327日
新座図書館:322日

活発に議論し、学び合うアクティブ・ラーニングの促進

左から:複数名で利用できるグループ学習室(池袋)、自由に会話できるラーニング・コモンズ「しおり」(新座)

学生同士の主体的な学び合いを促すため、グループ学習・発表のための「グループ学習室」を池袋に8室、新座に4室設置。周囲を気にせず存分に話し合いができる開放的なエリアも両図書館に設けています。

使いこなすためのサポート

図書館の施設や機能を有効活用できるよう、利用者向けの講座・講習会を多数開催。基本的な利用法や、さまざまな情報検索手法を紹介しています。

<例>
・図書館活用講座
施設の利用法や情報収集のテクニックを学ぶ全3回の講座
・授業内情報検索講習会
授業やゼミ単位で実施する、図書館リソースを活用するための講習会
・オンラインデータベース講習会
外部講師を招き、データベースの利用法を詳しく説明
・図書館スタンプラリー
毎年春と秋に開催する新入生向けのオリエンテーリング企画

大学院学生のラーニングアドバイザー

専用カウンターの目印はイラストが描かれたボード(新座)

大学院学生が「ラーニングアドバイザー」として、図書館を活用した学習方法やレポート・論文作成をサポート。池袋・新座両図書館の専用カウンターで相談に来た学生にアドバイスを行うほか、「レポート作成セミナー」の講師も担当します。

就職活動や海外留学をバックアップ

海外留学に役立つ展示企画や、就職活動に活用できる企業研究方法をレクチャーする講座などを開催し、図書館の視点から学生の大学生活やキャリアをサポートしています。

<2019年度実施例>
・展示「図書館で知る海外留学」
海外留学に役立つ資料・書籍を館内で展示
・講座「企業研究データベース講習会」
四季報や業界地図、企業の有価証券報告書を検索・閲覧できるデータベースを使い、読解のポイントを紹介

電子書籍を順次導入

教科書に指定された学術専門書や教養書・実用書などが電子書籍で閲覧できるサービスを提供しています。利用促進のため、電子書籍の入門講座や期間限定の試読サービスなども実施しています。
伝統と革新の図書館-2012年、池袋図書館誕生

数字で見る図書館

さまざまな数字から、図書館の魅力や利活用状況を読み解きます。

蔵書数

約193万冊(2019年3月時点)

池袋図書館約120万冊、新座図書館約23万冊、新座保存書庫約50万冊の蔵書を有しています。
<CHECK>
多数の新聞・雑誌も所蔵。新聞は全国紙だけでなく地方紙も取りそろえています。
<CHECK>
国連世界観光機関(UNWTO)の寄託図書館を担う新座図書館には観光系資料が充実しています。

2018年度年間入館者数

約141万人

年間で池袋図書館は約116万人(1日平均3,557人)、新座図書館は約25万人(1日平均787人)が入館。高い利用率を誇ります。

PC台数

902台(2019年5月時点)

池袋図書館665台(うち貸出用368台)、新座図書館237台(うち貸出用145台)を用意。館内はほぼ全域に無線LANを完備しています。

2018年度グループ学習室利用件数

9,192件

池袋図書館は8,131件、新座図書館は1,061件の利用があり、高い稼働率となっています。

2018年度講座・講習会開催数

235回

池袋・新座両図書館で開催された「図書館活用講座」「授業内情報検索講習会」「オンラインデータベース講習会」の合計数です。

オンラインジャーナル数

53,378タイトル(2019年3月時点)

オンラインデータベース数

128種類(2019年3月時点)
多種多様な学術雑誌のオンライン閲覧が可能。情報検索に利用するオンラインデータベースのラインナップも豊富です。
※「文部科学省 学術情報基盤実態調査(大学図書館編)」の種別による

図書館相互利用が可能な大学

8大学(2019年3月時点)

山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムに加盟する7大学、埼玉大学の図書館が相互利用できます。また、新座図書館はSALA(埼玉県大学・短期大学図書館協議会)に加盟しており、希望者は加盟館を入館利用できます。

<CHECK>
山手線沿線私立大学図書館コンソーシアム
協定締結校の学生・教職員は、各大学の図書館を利用できます。

貴重書・稀覯本(きこうぼん)と新座保存書庫

新座保存書庫

立教大学図書館では、和書約9300点、洋書約2600点が「貴重書・準貴重書」に指定されています。『リールのニコラウス聖書全注解vol.2(1481年)』は、活版印刷の父、グーテンベルク時代の書物群の1冊。ジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』や『エミール』など世界的名著の初版本のほか、和書では『竹取物語絵巻』、『竹取物語(慶長元和中刊古活字版)』などがあります。これらは普段目にすることはできませんが、本学学生・教職員対象の「貴重書見学ツアー」を年1回開催しているほか、一部は図書館Webサイトの「デジタル・ライブラリー」で一般にも公開しています。

また、1982年に新座キャンパスに設置された新座保存書庫は、地下1階、地上2階からなり、約50万冊の蔵書を擁しています。原則として一般公開していない、保存機能のみの特殊な図書館(書庫)です。立教大学の誇る各個人文庫、聖公会関係資料のほか、1955年以前に収書された単行書約8万冊、1970年以前に刊行された逐次刊行物(欧米の新聞を含む)等の資料を所蔵しています。

リールのニコラウス聖書全注解

エミール

立教大学図書館Webサイト

図書館Webサイトでは多彩なコンテンツを用意し、さまざまな情報を発信しています。ここでは、その一部をご紹介します。

【図書館バーチャル・ツアー】

池袋図書館・新座図書館をVR(バーチャル・リアリティ)で体験できます。

【オリジナルブックカバーダウンロード】

立教大学図書館のオリジナルブックカバーをWebサイトからダウンロードできます。

【広報誌『Your Library』】

図書館の活用法や最新の取り組みを発信する、年3回発行の広報誌。Webサイト上でも閲覧できます。

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