オルターと説教卓

チャペルの豆知識

2018/08/24

キリスト教とチャペル

OVERVIEW

チャペルにまつわる豆知識をご紹介します。

オルター

新座チャペルのオルターは礼拝が対面式になってから作られたものなので決して古いものではありません。明るいアイボリー系の白木の木目を生かした、スクエアなデザインで、装飾もほとんどないシンプルなものです。それは、決して目立ったものではありません。また、説教卓も同様にシンプルな作りで、決して重厚な感じはありません。
特に目立って違う点と言えば、どちらにもキャスターがついていて、コロコロと簡単に移動できる位です。そんなことから、通称「コロコロ」というかわいい愛称で呼ばれているのですが、毎日の礼拝で活躍しています。
この「コロコロ」は2005年ごろに当時のチャプレンであった大橋司祭が製作を依頼した時の特別注文だったようです。そして、これらを製作したのは、私がそのころ司牧していた宇都宮聖ヨハネ教会の信徒さんで糀谷道男さんという方です。この方は元々、家具製作会社で職人さんとしてお勤めだったのですが、勤務の傍ら大学を卒業されて、その後は職業訓練校で木工の教員をされていた方です。当然、その技術は大変優れておられたので、その技術を使って奉仕していただき、材料費だけでこれらを作ってくださったのです。

説教卓

作品にはその人柄が現れるといいますが、作者の糀谷さんは栃木県人らしい朴訥な人柄ながら、仕事には一切妥協はしないし、教会のためには奉仕を惜しまない方です。その人柄を反映したこれらの作品は、華美なところはなくとも、その隅々にまで職人としてのこだわりを見ることができます。例えば、材木はどんなに乾燥させても、加工後年月が経てば、わずかに残ってしまう水分の乾燥によって「反り」ができてしまうことがほとんどです。そこで、木目の異なる木を交互に組み合わせることで、完成したのち年月がたって乾燥が進んでいっても相互に打ち消し合うような組合わせをすることでこれを防いでいます。こうした見えないところには、様々な工夫が凝らされているのです。糀谷さんは、他の教会でもオルター等の教会の調度品をご奉仕として製作されています。残念ながら最近は、ご高齢になったこともあって、こうした大きな作品の製作はできなくなってしまいましたが、お元気で教会には来られているようです。チャペルや教会というものは、実はこうした方々の「奉仕」の働きの上にあることを覚えて日々の礼拝を奉げたいと思います。

立教新座中学校・高等学校チャプレン 金山 昭夫

〔『チャペルニュース』第598号2018年1月号/連載「チャペルのタカラモノご紹介します!」より〕

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