キャリア・就職支援プログラム「【社会を知る講座特別編】社会に出る前に知っておきたいお金の知識」-開催レポート

キャリアセンター

2022/12/23

キャリアの立教

OVERVIEW

12月1日(木)、BSテレビ東京『日経スペシャル マネーのまなび』と立教大学キャリアセンターがタッグを組み、全学生を対象としたキャリア・就職支援プログラム「【社会を知る講座特別編】社会に出る前に知っておきたいお金の知識」を対面で開催しました。

「社会を知る講座」は、主にビジネス社会で起こっている世の中の変化や働き方について学生にわかりやすく伝えるプログラムで、2008年度から開催しています。

2022年4月から、高校で本格的な「金融教育」が始まるなど、金融リテラシーは必須になっていますが、現役大学生は「金融教育」を受けておらず、不安な気持ちがあると言います。大学生の今、知っておきたいお金の知識について、『マネーのまなび』のコメンテーターも務める日本経済新聞社の小栗太氏にお話を伺いました。

日本経済新聞社の小栗太氏講演の様子

WHY? Rikkyo × Money

首藤若菜キャリアセンター部長

はじめに、首藤若菜キャリアセンター部長から、なぜ、今、キャリアセンターが“お金の知識”講座を開催するのか、お話がありました。

今年度から学習指導要領が改訂され、高校の家庭科の授業で、金融教育が必修となりました。投資や資産形成まで踏み込んだ金融経済教育が行われるとのことです。つまり、お金をどのように管理するのか、どう運用するのかということは、生活の基盤であり、暮らしを支えていくうえで重要だ、と文科省は考えたのだと思います。
でも、皆さんはすでに高校を卒業していますので、金融教育を受けていない世代です。そのため、今回このような企画を設けました。

金融教育と聞くと、単に金融商品の説明を受けるようなイメージがあるかもしれません。でも、実際はそうではありません。
例えば、皆さんは、卒業して働き始めれば、お給料をもらいます。給与明細の見方が分からなければ、額面の給与額がいくらで、税金や保険料でいくら支払っているのか、自分の手元にいくら給与が残るのかが分かりません。
他にも、自分が毎月支払っている税金がどれくらいなのか、どのくらいを貯金や投資に回したらいいのか、将来のためにどれくらいお金を備えないといけないのか…
こういうことを、これまでの学校教育では習う機会がありませんでした。情報はネットで調べればざっと出てきます。しかし、数多くの情報が出てくる反面、正しい情報がどれなのかということを見極めにくいのも事実です。
私たちキャリアセンターは、学生の皆さんが、社会で自立する力を育むことを支援することが役割だと考えており、本日このような講座を設けました。
短い時間ではありますが、今後の皆さんの生活に役立つ機会にしていただければ幸いです。

社会に出る前に知っておきたいお金の知識

日本経済新聞社の小栗太氏

続いて、小栗太氏より「社会に出る前に知っておきたいお金の知識」についてのお話がありました。

「お金のはなしをする」と聞くとどんな印象を持ちますか?
卑しいとか不安といった少し後ろ向きなイメージが強いですが、人生100年時代、現役期間はその約半分ですが、お金の話はずっと付き合っていかなければいけません。もっと積極的にマネーをまなぶ意識と環境が必要です。

資産形成の基本の“き”は、不変の公式「資産形成=家計管理+資産運用」です。家計管理は支出を抑えること、資産運用は収入を増やすことです。資産形成というと、お金を増やすイメージが強いですが、実際には、収入を増やすだけでなく、家計管理で支出を抑えることが大切です。

資産運用の3大原則は、長期・分散・積み立てです。長期投資は、何年も時間をかけて利益を確定させます。若い世代は、運用期間に余裕を持ちやすいので、確実に利益が出る時期を待つことができます。資産形成の手段としては、株式や外貨は高リスク・高リターンのため、個人の場合は投資信託のほうがリスクが分散しやすくなります。実際に資産運用を始める場合は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)が基本となってきます。NISAには、投資した資金を自由に引き出せるという長所がありますが、iDeCoほどの税制優遇がない、iDeCoは、利益だけでなく、掛け金も非課税ですが、原則60歳まで引き出せないという短所があります。例えば、年金ならiDeco、教育や住宅のための資金形成ならNISAといったように目的別に選ぶ必要があります。また、財形制度(給与から天引きする非課税貯蓄)や社内預金(企業が利子を上乗せする預金)といった制度もあるので、どれが最も有利か比較検討をしていく必要があります。

家計管理の基本は「家計簿」です。家計簿は、企業でいうPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)で、企業経営に必須のものです。家計簿をつけると、資産形成額、老後必要額、節約目標額を知ることができます。例えば老後の資金を考えたとき、不足する場合は資産運用や雇用延長でカバーすることになりますので、早めに家計の状況を把握し、対処しやすくすることは大切です。
 
その他、事前アンケートで皆さんの関心が高かったのは、税金、年金、保険でした。まずは、税金について。個人にかかる2大税金は所得税と消費税です。会社員になると給与がもらえますが、給与額と手取り額は大きく違いますので注意が必要です。次に年金。公的年金と私的年金があります。そして、保険。大きく分けると生命保険と損害保険。必要性は千差万別なのでじっくり考える必要があります。

最後に、マネーをまなぶもう一つの意味をお伝えしたいと思います。今の世の中では、預貯金でお金を増やすことはほとんどできません。なので資産運用は必須だと思います。しかし、リスクが伴うのも事実です。だから、資産形成には家計管理が重要だということをぜひ覚えておいてください。また、巷には金融詐欺というものも存在し、手口も巧妙になっていることから、何も知らないと簡単に騙されてしまいます。そういったあやしい儲かる話に騙されないためにも、自分で自分を防衛できるマネーの知識を身につけてください。
このあと行われた質疑応答では、非常に多くの質問が寄せられ、満足度の高いプログラムとなりました。
参加者の声をご紹介します。
  • 自分で情報を集めようとしない限り、お金に関することを知る機会も全くないに等しかったため、目から鱗のような情報ばかりだった。
  • 社会人になる前に資産についてどう扱うべきかの知識が得られてよかった。
  • お金を増やしたいなら株、投資だと思っていた固定観念が開始早々はずれ驚いた自分がいた。
  • 曖昧だったお金の知識が明確になり、現実的にお金と向き合う良いきっかけとなった。


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