伝統を大切にしながら現代的にアップデートする——好まれる日本酒をどう作るか
松岡醸造株式会社 代表取締役社長 松岡 良治 さん
2023/07/21
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
本学の講義やイベントで講師を務めた、立教卒の“リーダー”たちの言葉をご紹介します。
松岡醸造は埼玉県中部の比企郡小川町にある、170年以上続く酒蔵です。私は大学卒業後、酒類メーカーや酒類問屋で経験を積んだ後、50歳で松岡醸造の6代目に就任しました。
近年、日本酒を取り巻く環境は大きく変化しています。清酒※1の出荷数量は1973年度をピークに、2020年度には3割以下にまで減少。一方、出荷金額は12年を境に増加基調にあり※2、単価の高い商品の需要が高まっています。この背景にあるのは、人々の酒を飲む目的が「酔うため」から「楽しむため」に変わってきたこと。酒蔵側も「好まれる酒」を作るために試行錯誤を重ねています。弊社では東京農業大学やアニメ作品とのコラボ商品を開発したり、私が会長を務める埼玉県酒造組合でも県内24の酒蔵の「一合缶飲み比べセット」を販売したりと挑戦的な施策を行っています。
※1 清酒:米、米こうじおよび水を主な原料として発酵させてこしたもの。
※2 出荷数量、出荷金額のデータは国税庁「酒レポート」(2022年3月)より。
近年、日本酒を取り巻く環境は大きく変化しています。清酒※1の出荷数量は1973年度をピークに、2020年度には3割以下にまで減少。一方、出荷金額は12年を境に増加基調にあり※2、単価の高い商品の需要が高まっています。この背景にあるのは、人々の酒を飲む目的が「酔うため」から「楽しむため」に変わってきたこと。酒蔵側も「好まれる酒」を作るために試行錯誤を重ねています。弊社では東京農業大学やアニメ作品とのコラボ商品を開発したり、私が会長を務める埼玉県酒造組合でも県内24の酒蔵の「一合缶飲み比べセット」を販売したりと挑戦的な施策を行っています。
※1 清酒:米、米こうじおよび水を主な原料として発酵させてこしたもの。
※2 出荷数量、出荷金額のデータは国税庁「酒レポート」(2022年3月)より。
松岡醸造の代表的なブランド「帝松(みかどまつ)」は、全国新酒鑑評会にて8年連続で金賞を受賞するなど高い評価を得ている
こうした試みの原点には、私が大学時代に苦戦した科目「経済原論」がある気がします。そこでは「企業等が置かれた状況の中で、多数の選択肢からどのように意思決定を行うか」といったことを学びました。酒蔵に置き換えると、伝統を大切にしながら商品や販売方法を、いかに現代的にアップデートするかが重要だと考えています。
学生の皆さんの前には無数のチャンスが転がっています。若いうちは失敗してもダメージは小さいので、良いアイデアがあれば積極的にチャレンジしてほしいですね。
学生の皆さんの前には無数のチャンスが転がっています。若いうちは失敗してもダメージは小さいので、良いアイデアがあれば積極的にチャレンジしてほしいですね。
※本文は、2022年度全学共通科目「立教ゼミナール発展編2」(地域創造人財論)のゲスト・スピーカー(講師)として登壇した講義の採録です。
※本記事は季刊「立教」264号(2023年4月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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プロフィール
PROFILE
松岡 良治さん
代表取締役社長
1975年 経済学部経営学科卒業
1953年埼玉県生まれ。立教大学卒業後、1975年から酒類総合メーカーで製造・販売を担当。その後、国税庁醸造試験所での日本酒の製造研究を経て、大手酒類問屋で流通の仕組みを学ぶ。2003年に松岡醸造の代表取締役社長に就任。2018年から埼玉県酒造組合会長を兼任。